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熱処理技術講座 >> 「熱処理のやさしい話」

第21章 鋼の火花試験方法

鋼の火花試験方法
(JIS G0566)

火花による鋼材の簡易鑑別法には、種々な方法がありますが、このうちJISではグライイダーを用いた方法が規定されています。この試験方法は、鋼種が不明な場合の推定、又は異材が混入した場合の鑑別を目的としています。目視観察だけに相当の経験が必要ですが、火花の出る原理、火花の特徴などつかめば簡単な鑑別は容易にできます。必要な用具はグラインダー、砥石、補助器具、標準試料などです。JISでは色々なことが規定されていますが、要は観察に必要な火花が十分に放出でき、観察に支障が無ければ良いでしょう。試験片をグラインダーに押し付ける圧力は、0.2%C鋼程度の炭素鋼で、火花が500mm程度になるようにし、いつも同一条件で試験することが大切です。火花を観察する場合は、根本、中央、先端の各部にわたり、流線の色、明るさ、長さ、太さ、数、また、破裂に対しては形、大きさ、数、花粉の有無、流線の角度、手応え、音など注意深く1本1本詳細に観察します。グラインダーに試験片を押しつけた時、削り取られた小さな鋼片は、かなり高い研削熱が発生します。この小片が空気中を飛んで行く途中で、酸素と反応しさらに高温となり破裂します。したがって、耐熱性、耐酸化性に優れた鋼種は火花が出にくく、炭素鋼などは鋼中のCと酸素が反応してCO又はCO2ガスとなって破裂するわけです。これが原理です。

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